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登山外来の現場から 防ごう!山での心臓突然死(1)

2015.07.05(17:54) 1009

次のような記事がありました。

中高年に登山愛好家が急増する今、「私は大丈夫!」と思っている方こそ要注意。登山には危険がつきまとうが、装備や服装を軽視しがちな風潮が広がっているのも事実。登山家・三浦雄一郎氏の専属医としてエベレストにも同行した日本人初の国際山岳医が、医学的データを示しながらわかりやすく警鐘を鳴らす。では、何に注意をしたらよいのか――。山を愛する人を応援するコラム。

防ごう!山での心臓突然死(1)

2015年6月19日
大城和恵 / 心臓血管センター北海道大野病院医師/国際山岳医
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 前回、3大山岳死因は「外傷」「心臓突然死」「寒冷傷害(低体温症と雪崩埋没)」とお話ししました。心臓突然死は山域に関わらず起こり、登山者の多い時期に発生率が高いのが特徴です。中高年登山者が増え、ますます心配なのです……。

山での心臓突然死の特徴を知りましょう

1.突然死の原因は心筋梗塞

 中高年が山で心臓突然死を起こす場合、ほぼ全例が心筋梗塞(こうそく)によるものと報告されています。

Q:心筋梗塞ってどんな病気?

A:心臓に酸素を送る血管が詰まって、心臓がポンプとして働かなくなる病気です。重篤な場合は心臓が停止します。


Q:心筋梗塞になると死に至りますか?

A:全てではありませんが、心筋梗塞で心停止を起こした人の半数は、1分以内に心臓が止まっています(図1)。これでは、山では救えません。


2.男性、持病のある人、運動不足の人は注意が必要

 山で心臓突然死を起こす人の特徴を知っておきましょう。

Q:年齢や性差は?

A:34歳以上の男性が9割を占めます。

Q:持病と関係あるの?

A:心筋梗塞や狭心症のある人、高血圧の人、コレステロールが高い人、糖尿病を持っている人に多く見られます。

Q:日ごろの運動は関係あるの?

A:年間2週間以上山登りをしている人の方が、山で心筋梗塞を起こしにくいと言われています。

「薬さえ飲んでいれば大丈夫だ!」「最近、検査なんてしていないなー」「久しぶりに山に行くぞー!」というのがいかに危ないか分かりますね。

3.初日・午前中に多い心臓突然死

 心臓突然死が多いのは、登山の初日、そして午前中です。これは、体が緊張状態(交感神経が活性化している状態)にあるからです。

Q:なぜ体が緊張状態になるの?

A:急激な運動、寒さや暑さ、酸素が薄い、水分不足、空気の乾燥などの急な変化に体がストレスを感じ取るからです。

Q:緊張状態はずっと続くの?

A:1日目が一番強く、2〜3日目までが高く、1週間続きます。1日目は要注意ということです。

Q:緊張したら、どうして良くないの?

A:血圧と脈拍が高くなると心臓に負担がかかり、血液がドロドロすると血管に詰まりやすくなります。こうして、心筋梗塞を起こしやすい条件がそろってしまうのです。

4.ささいなストレスも突然死に影響している

 登山に行く日は、朝早くて寝不足だったり、前日にちょっと晩酌しちゃったり……ということはよくあること。たいしたことないと思っているストレスが実は心臓突然死にまで影響していることもわかってきています。「心配事や不安がある」「睡眠不足」「風邪、虫歯、下痢などのちょっとした日常の病気」「朝食を取っていない、行動食もあまり食べない(炭水化物が不足)」「水分不足」などのときには、登山を控えましょう!

−エベレスト登山時にチームドクターとして同行した大城先生が語る−【冒険家・プロスキーヤー・三浦雄一郎さんのエピソード】

 三浦雄一郎さんは予備遠征中、ナムチェバザール(標高3440m) で、虫歯が悪化しました。たかが虫歯、されど虫歯です。虫歯があると、体調はすっきりしませんし、痛みがあれば血圧があがります。歯が痛くて食欲も落ちます。なんだか、心臓発作の足音が聞こえてきそうです……。そうです、不整脈発作が出始めていました。三浦さんは、すぐに登山を中断し、歯の治療を行いました。この決断の潔さは、本当に見事なものでした。

 山で心臓突然死を起こす人の特徴をお読みになって、自分もあてはまるのでは?と不安になってきた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 次回は、心臓突然死の予防、そして山で心臓発作が起こった際の対応についてです。キーワードは「事前健診」と「“心臓に優しい”登り方」です。三浦さんのエピソードも、楽しみにしてくださいね。

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