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長く歩けなくなる病気 腰部脊柱管狭窄症

2017.09.12(17:04) 1385

次のような記事がありました。

長く歩けなくなる病気 腰部脊柱管狭窄症
2017年9月12日 萩野浩 / 鳥取大学教授

体の中から知る「骨と筋肉」の痛み【6】
 年齢を重ねるにつれ、「腰が痛い」という同年代の人を周りでよく見かけるようになりませんか。腰に痛みを伴う疾患はいろいろあり、症状の出方も原因もさまざまです。その一つが「腰部脊柱管狭窄(せきちゅうかんきょうさく)症」で、前々回紹介した「椎間板(ついかんばん)ヘルニア」に比べて中高年世代により多くみられます。さほど強くはないものの、背筋を伸ばして歩くと痛みが出る、太ももから膝より下にしびれや痛みが出て歩きづらくなる、という症状が特徴です。今回はこの疾患の症状と原因、治療法について説明します。
神経の通る道を狭くするのが原因
 「腰部脊柱管狭窄症」は、その名の通り、脊椎(背骨)のうち腰の部分の「脊柱管」にトラブルを抱えて起こる病気です。脊柱管は、椎骨(ついこつ)、椎間板、関節、黄色靱帯(じんたい)などで囲まれ、脳と末梢(まっしょう)器官との間の信号を伝える脊髄や「馬尾(ばび)」と呼ばれる神経の通り道です。「腰部脊柱管狭窄症」は、この「トンネル」が狭くなることで、その中を通る神経や血管を圧迫するために引き起こされる病気です。60~70歳ごろに多く発症します。
 この病気を引き起こす主な原因は、三つあります。その一つが、脊柱管のそばにある黄色靱帯が、長年使い続けることで厚くなり、脊柱管側に飛び出て脊柱管を狭くする場合です。二つ目として、加齢や労働などによって椎間板に負担がかかることで傷んだ椎間板が膨らみ、脊柱管側に飛び出て脊柱管を狭くすることがあります。三つ目は、加齢で長年負担のかかった椎体が変形して骨棘(こつきょく)となり、脊柱管に飛び出してきて脊柱管を狭くする場合です。脊柱管狭窄症とはつまり、厚くなった靱帯や膨らんだ椎間板、飛び出してきた骨棘が脊柱管内に飛び出て、その中を上下に通っている神経や血管に接触して圧迫するという状態と言えます。
馬のしっぽのような神経の束に影響
 圧迫される脊柱管内の神経は、脊椎のどこの位置にあるものかによって、形状が異なります。神経が結合して一つの塊になっている脊髄の状態は、1番目の腰椎までで、2番目の腰椎から下の部分では、「馬尾神経」と呼ばれる神経線維の束のような状態に変わります。馬尾神経はその名の通り馬のしっぽのような形状で、糸状の神経線維が束のようになっています。この馬尾神経の束から「神経根」という細い神経が1本ずつ分岐し、それぞれ足先に向かっています。この脊髄や馬尾神経、さらに神経に血液を送っている血管が、靱帯や椎間板、骨棘に圧迫されると、脊柱管狭窄症を起こします。
 馬尾神経の「しっぽの毛」にあたる神経繊維の1本1本は足の動きに連動し、脊柱管の中を上下に動きます。しかし、脊柱管狭窄症になり靱帯や椎間板、骨棘が馬尾神経を締め付けると、神経線維は自由に動かなくなってしまいます。
100m歩いたらもう歩けない
 主な症状は足の異常で、腰痛はあまり強くありません。背骨を伸ばして歩くと足がしびれる、全体的に足がビリビリとするといった症状が生じます。患者さんは、その症状に耐えきれず、長い距離を一気に歩くことが困難になって「歩いたら、休む」という「間歇性跛行(かんけつせいはこう)」と呼ばれる歩き方をするようになります。歩行はできるものの「100m歩いたら、もう歩けない」という人が出てきてしまうのです。
 症状が出るタイミングは、歩く時ばかりではありません。日常生活で、さまざまな場面でも起こります。立ち仕事や洗濯物をしていて、足のしびれを感じることもあります。
足の動脈硬化と似た症状
 診断のためにレントゲンを撮ることもありますが、詳しく診断をするためには、MRI(磁気共鳴画像化装置)や造影剤を脊柱管に入れて脊柱管の狭窄具合を診る「脊髄造影」による検査を行います。「間歇性跛行」は、足の血管に動脈硬化が起きて血行障害を生じた時にも出るため、正しい治療を行うためにも詳しい診察が必要です。
 次に治療について説明しましょう。日常生活に大きな支障が出ている場合などは、狭くなった脊柱管を広げるために、脊柱管を囲んでいる骨のうち背中側の「椎弓」の一部を切除する手術をすることがあります。痛みやしびれはすぐに治まりますが、脊椎を形成する骨の一部がなくなるわけですから、背骨がぐらぐらして不安定になり、手術した部分には負担がかかりやすくなります。手術は、メリットもデメリットも知ったうえで受けるようにしてください。
 この疾患に、特別な予防策はありません。若い頃から意識して、普段から正しい姿勢を心がけたり、腹筋、背筋など体幹の筋肉を鍛えたりするとよいでしょう。

恥ずかしがらずシルバーカーを使おう
 腰部脊柱管狭窄症による痛みは、腰をまっすぐに伸ばして立つと強くなりますが、前かがみになると弱まるという特徴があります。例えば、スーパーなどでカートを押している限り、いつまでも歩けるのです。というのは、前かがみになると脊柱管内に空間的余裕が生まれ、神経への圧迫を避けることができるからです。「前かがみの姿勢が楽」という意味では、「歩くより自転車のほうが楽」ということでもありますので、自転車での運動はおすすめです。普段の生活では、つえをついたり、手で押して前に進む「シルバーカー」を使ったりして、腰を少しかがめて歩くようにしましょう。
 患者さんの中には、「高齢者だと見られたくない」という気持ちがあるからか、症状が和らぐのが分かっていてもシルバーカーやつえを使いたがらない人がいます。少しの工夫でQOL(生活の質)はぐっと上がります。最近はスタイリッシュなデザインや座れる機能の付いたシルバーカーが出回っていますし、外出や買い物が気軽にできるようになりますので、私も患者さんには使用を勧めています。恥ずかしがらず、便利なものはどんどん利用してください。【聞き手=編集部・吉永磨美】

萩野浩
鳥取大学教授
はぎの・ひろし 1982年鳥取大学医学部卒業。同学部整形外科助手、講師、付属病院リハビリテーション部長などを経て現在、医学部保健学科教授(付属病院リハビリテーション部長兼務)。専門は骨粗しょう症、関節リウマチ、運動器リハビリテーション。特に骨粗しょう症治療の経験が深く、国際骨粗鬆(しょう)症財団(IOF)アジア太平洋地域代表、日本骨粗鬆症学会理事など要職を務める。保健師、看護師、臨床検査技師などを対象に骨粗しょう症診療のコーディネイター役「骨粗鬆症マネージャー」を養成する日本骨粗鬆症学会のレクチャーコースでは講師役も務める。著書に「骨粗鬆症治療薬の選択と使用法―骨折の連鎖を防ぐために」(南江堂)など。

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      △ アカクラゲ  葛西臨海公園水族園
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りんむうフォトダイアリー



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