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「認知症予防」の落とし穴

2017.09.16(21:13) 1386

  次のような記事がありました。

「認知症予防」の落とし穴
2017年9月15日 ペホス / 認知症ケア・コミュニケーション講師

 「できることなら、認知症にはなりたくない」--。
 いまでは、こうした意識を多くの国民が持ち合わせています。そのため、「認知症予防」への国民的関心は高まるばかりで、「◯◯をすれば認知症にならない」「□□を食べると認知症を予防できる」というキャッチフレーズがあれば、テレビ番組の視聴率は上がり、雑誌の販売部数は伸びます。同様に、健康食品会社も右肩上がりで売り上げを伸ばします。高齢者はどんどん増えるのですから、「認知症予防」への関心が高まるのも自然な流れです。

 しかし、いま日本で繰り広げられている「認知症予防」には、いくつかの落とし穴があります。
(1)すべての「認知症」を予防できるわけではない
 まず、皆さんが見たり聞いたりする「認知症予防」というフレーズは、そもそも適切な表現ではありません。本来なら、「アルツハイマー型認知症予防」と表現するのが適切です。
 第1回の記事「『認知症』でもすべての行動には理由がある」で述べましたが、「認知症」の症状を引き起こす病気は80種類以上あると言われています。ところが、いまの日本では、脳が萎縮して、もの忘れがみられるアルツハイマー病が原因の「アルツハイマー型認知症」がメディアで取り上げられることが多いためか、「認知症=アルツハイマー型認知症」という読み替えが無意識に行われています。
 そのため、「これで認知症を予防できる!」と掲げる情報は、脳梗塞(こうそく)などで起きる血管性認知症や、発病メカニズムが明確になっていないレビー小体型認知症、前頭側頭型認知症に必ずしも有効とは限らないということが、知られていません。
(2)予防に取り組み続けた先に「認知症」が待っている
 一般的に「認知症予防」では、バランスのとれた食事を心がける▽適度な運動をする▽人と接する機会をもつ▽頭を使う--ことが推奨されますが、これらは、「認知症予防」にとどまらず、健康長寿につながる要素でもあります。
 「いつまでも健康に長生きできるのであれば、問題ないじゃないですか?」と思われるかもしれませんが、実は、長寿は「認知症」の最大のリスクです。90歳を超えると、60%以上の人が何かしらの「認知症」になるというデータもあります。長生きすればするほど、「認知症」になる割合が高くなるのです。

 つまり、<認知症予防に取り組む→長生きする→「認知症」になる>という皮肉なつながりがあるのです。
(3)「認知症になったら終わりだ」と感じてしまう
 ◯◯予防とつくもの(犯罪予防、がん予防、災害予防、事故予防)には、すべて、「◯◯」を避けるべきもの、防ぐべきもの、いわば「◯◯を良しとしない」という価値観が背景にあります。
 そのため、「認知症予防」に取り組めば取り組むほど、「認知症になりたくない」「認知症になったら人生は終わりだ」という価値観はどんどん大きくなります。
 そこで実際に「認知症」になると、「人生お先真っ暗だ」と感じ、なにもやる気がなくなり、閉じこもり、人との接触を避けて、昨日まで取り組んでいた「認知症予防」とはまったく逆の行動を取るようになるかもしれません。
「認知症」を悲観して、みんな仲間を失った
 ある地域に、10人ほどが参加する「認知症予防教室」がありました。グループ発足当初から参加していたAさん(70代男性)は、2年ほどたったころ、予定をすっぽかしたり、待ち合わせ場所を間違えたりするようになりました。家族と一緒に病院で受診したところ、初期のアルツハイマー型認知症と診断されました。
 Aさんはそのグループに参加しなくなりました。診断のショックもありましたが、「認知症」にならないために集まっている場ですから、どうしても参加しにくくなり、せっかくの付き合いが途絶えてしまったのです。皆さんも、ここまでは容易に想像がつくでしょう。
 では、Aさん以外の参加者に何が起きたと思いますか? 「Aさんにどう声をかければいいのかわからない」と連絡しなくなり、「自分も認知症になったらどうしよう」と不安が大きくなり、多くの人が「結局、こんなことをやっても意味がないんだ」と考えて、教室に来なくなったというのです。
 とても残念なエピソードですが、「認知症になりたくない」という価値観が、いかに私たちを窮屈にしてしまうかがおわかりいただけたと思います。
 私がお伝えしたいのは、「認知症にはなりたくない」という価値観の善しあしではありません。その価値観“だけ”であることが問題だということです。つまり、「認知症」にならないための取り組み“だけ”ではなく、「認知症になった時」に備える取り組み“も”していれば、すべての仲間を失うことはなかっただろうと思うのです。「備えあれば憂いなし」ということわざもあります。災害でも予防だけでなく、備えますね。両方あるからこそ安心できるのです。
 長生きをすれば、なる可能性が高まる認知症。ならば、ということで、次回は「認知症に備える」のテーマでお届けします。

ペ・ホス(裵鎬洙)
認知症ケア・コミュニケーション講師
1973年生まれ、兵庫県在住。大学卒業後、訪問入浴サービスを手がける民間会社に入社。その後、居宅介護支援事業所、地域包括支援センター、訪問看護、訪問リハビリ、通所リハビリ、訪問介護、介護老人保健施設などで相談業務に従事。コミュニケーショントレーニングネットワーク(CTN)にて、コーチングやコミュニケーションの各種トレーニングに参加し、かかわる人の内面の「あり方」が、“人”や“場”に与える影響の大きさを実感。それらの経験を元に現在、「認知症ケア・コミュニケーション講師」「認知症ケア・スーパーバイザー」として、介護に携わるさまざまな立場の人に、知識や技術だけでなく「あり方」の大切さの発見を促す研修やコーチングセッションを提供している。著書に「理由を探る認知症ケア 関わり方が180度変わる本」。介護福祉士、介護支援専門員、主任介護支援専門員。アプロクリエイト代表。

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りんむうフォトダイアリー



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