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心の専門家も同じ人間

2012.11.13(21:16) 658

次のような記事がありました。

「心の専門家」も同じ人間 香山リカのココロの万華鏡
毎日新聞社 11月13日(火) 配信
香山リカのココロの万華鏡:「心の専門家」も同じ人間 /東京

 久しぶりにゆっくり映画を見た。深層心理学の世界の巨匠、フロイトとユングというふたりの精神科医の友情と決別を資料に基づき忠実に描いた歴史心理ドラマ「危険なメソッド」だ。

 心理学の入門書には、このふたりは人間の心をめぐる理論で対立し、激しい議論の末、絶交したと書かれている。フロイトはあくまで医学的、科学的であることにこだわっており、若きユングも最初はフロイトの姿勢に傾倒していた。ところがユングは途中から、不可思議な人間を理解するためには民俗学や宗教などにも柔軟にアプローチすることが必要、と考えを変えていく。フロイトは、一時は後継者だとまで見なしていたユングが変容していく様子を、どうしても認めることができなかったのだと言われている。

 しかし、この映画を見て、ユングが変わっていったのは、必ずしも臨床の経験や研究の結果、とは言えないことがわかった。ユングを決定的に変えたのは、最初は患者、途中から愛人、それから教え子となっていったザビーナという美しく聡明な女性だったのだ。ユングと彼女はフロイトが許さなかった個人的な関係にまで陥ってしまう。苦悩しながらもザビーナにひかれ、フロイトに距離を置き始めるユング。またフロイトが自分のウィーンのアパートよりずっと豪華なスイスの邸宅に住むユングに微妙に嫉妬を感じていたことも、頑固に自説にこだわり続けた理由のひとつであったようだ。

 シリアスな展開と美しい映像に見入ってしまったのだが、途中からなんだか笑いがこみ上げてきてしまった。そうか、この巨匠、心の大家たちも、同じ人間だったのね。美しい女性につい恋心を抱いてしまったり、大きな家に住んでいるからと妬んでしまったり。「心の専門家」も自分の心だけは、簡単にはコントロールできないんだ。そう思ったら、ほっとして笑みが浮かんでしまったのだ。

 それから私は、ますます精神科医としてラクに仕事ができるようになった。私も診察室でときにはムッとしたり、大笑いしたり、ときには涙ぐんでしまったりする。なるべく個人的な感情は排して、と思っているのだが、完全には自分を制御することはできない。

 これまで診察室で自分の感情が揺れ動くたびに「医者としてこれじゃ、いけない」と思ってきたが、この映画を見てから自分にこう言い訳する。「あのフロイト先生、ユング先生だって恋したり怒ったり。だから私だってこれでいいんじゃないの?」。ちょっと間違った見方だろうか。

  PB121536
    色とりどり posted by (C)りんむう
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りんむうフォトダイアリー



身辺雑感 トラックバック(-) | コメント(2) | [EDIT]
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コメント
お早うございます。
まあ~いい話の文章ありがとう。

医療にかんじては、全く未知ですが、
長女が県立の小児医療センターに就職してから
身内で生後7日目で其処に入院し(腸回転異常)回転している腸を切りつないだ長さが45センチ以内だと生きる事は無理、と云う事がありました。(今その子は21歳げんきです)
従事して居る人達は医療との格闘と
大変さを少し知りました。
先生も生身の人間頭が下がります。
【2012/11/17 09:13】 | dekomama #SNSZ3Mro | [edit]
dekomamaさん、ありがとう。
いろいろ大変な事がありましたね。
現在は21歳でお元気とのこと。なによりです。
長く生きていると思わぬ事がありますね。
【2012/11/17 14:02】 | りんむう #834Ul4QE | [edit]
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